子供の近視は親からの遺伝?

遺伝の研究が進むにつれて病気や体質との関係が明らかになっています。
近視についても同様で、遺伝との深い関係が指摘されています。

つまり親が視力が悪い場合には、その性質が子供に受け継がれる可能性があるということです。現在では近視と関係がある遺伝子も発見されています。
この遺伝の確率は89パーセントにも及ぶという説もあり、親から受け継ぐものがいかに大きいかをあらわしています。

両親に近視が見られる場合、両親とも正常な視力の場合に比べて子供に受けつがれる可能性が8倍にも及び、片方だけの場合もリスクが2倍に達するというデータもあります。こうした点から見ても遺伝との深い関わりは明らかです。

しかしだからといってメガネやコンタクトで生活している親御さんががっかりしたり、責任を感じる必要はありません。実際のところ近視の原因は遺伝よりも生活環境の方が大きいのです。

親からリスクを受け継いでいる場合にでも視力の低下があまり進まないケースもありますし、逆にまったく受け継いでいないにも関わらず小学校高学年くらいから急激に進行するケースも見られます。

この点についてもう少し詳しく見ていきましょう。近視には大きく分けて二つタイプがあります。
まずは生まれつき焦点を上手く合わせることができない「軸性近視」と呼ばれるタイプ。

こちらは親から受け継ぐ面が強く、治療が困難なのが特徴です。もうひとつが「屈折性近視」。
こちらは焦点を合わせる働きを持つ毛様体筋が眼精疲労などでうまく機能しなくなるなど、環境面の影響が大きいのが特徴です。

前者のタイプは避けようがない面があるのですが、後者は生活習慣で改善することが可能です。
そして患者の多くは後者のタイプに分類されます。

また軸性でも目を酷使する環境を避けていれば視力が低下しにくくすることも可能といわれています。
ですから、いくら遺伝の確率が高くても親御さんが過剰に責任を感じる必要はありません。

責任を感じるべきはお子さんが近視にならないよう、視力の低下が進まないよう生活環境を整えることです。
目を酷使するような環境ではないかどうかを見直してみましょう。